このことをわたしは「成功哲学本の罠」と呼んでいる。
しかし、『夢をかなえるゾウ』を同類と決めつけると、あなたは損をする。
夢をかなえるゾウ | |
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この本の真価は、巻末の38冊の参考文献から集めた成功哲学そのものではない。
読者が変化するための仕掛け、「実行力」のサポートにある。
(続きを読む)確かに、時代背景や環境によって、成功哲学は異なる。
それ故、さまざまな偉人や成功者の著書から学ぶことは重要だ。
しかし、一方で「読者の数ほど、成功者は誕生しない」のも事実。
手に取った一冊がたまたま読者に適しなかったのか。
でも、歴史に残るような功績や実績を残した人物の見いだした法則を参考にして、人生に大なり小なりの変化が起きないはずはない。
つまり、問題なのは読者がその本から学んだことを実行できない点にある。
これを「成功哲学本の罠」とわたしは呼んでいる。
『夢をかなえるゾウ』(以下、夢ゾウ)は、この罠を打ち破るしかけをいくつも用意している。
まず、目次がない。
基本的に少しずつステップアップするので飛ばし読み防止策は的確なしかけだ。
おかげで目次に目を通して読んだ気になるのを防いでくれる。
次に、主人公がだめ男、つまりわたしのような読者同様、非成功者である。
おかげで、同じ目線でレクチャーを受けることができる。
そして、成功哲学の講師が神様、しかもインドの神様、ガネーシャ神なのだ。
たいていの本は成功者自身が講師なので、読者が
「やっぱりそういう人は違うんだよな」と言い訳しやすい。
でも、夢ゾウでは、そうはいかない。なにせ、神様なんだから。
しかも、神様のわりに、だめなところもあるし、なぜか関西弁を話すのでリラックスして読み進められる。
とはいってもガネーシャ神がぼそっと語る言葉には重みがある。
著者の水野氏が用意したしかけを楽しんで、ぜひ罠を打ち破ってほしい。
「ワシの教えてきたことには何の目新しさもないんやで」
「もし自分が変われるとしたら、行動して、経験したときや。そんときだけやで」
(ガネーシャ神の言葉)
本棚に30冊を超える同種の本を並べているわたしが、自信をもっておすすめする。
※免責事項:百式さんからこの本をいただきました。
管理人の田口さん、著者の水野さん、ありがとうございました。
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