週刊、と宣言したのがよかったのだろうか。
さて、前回同様、レビューのポイントの解説から。
レビューのポイントは「世界観」と「戦略性」。
over35世代のわたしにとって、アクションものでは高得点が取れない分、知恵でカバーするために「戦略性」が重要。さらに、高得点がとれなくても楽しんだ気になるには「世界観」が重要なのだ。
堂々のVol.3。
モバゲーはシュールさ爆発!『ザ・デップショー〜デプリンピック〜』
グリゲーは「魁!男塾」のパロディ版?『激!マッチョ塾』
を取り上げる。
・モバゲー『ザ・デップショー2〜デプリンピック〜』
ケータイゲームの世界でもFlashの普及が進み、グラフィックが美麗になりつつある。
しかし、本作は真っ向から否定する。
線で描画されたキャラクターたちは、あまりにシンプル、悪くいえば粗雑でさえある。
だがそのデザインは計算されつくしたものだ。
まず、すぐにゲームをはじめず、ゲーム説明を読んでほしい。
キャラクター紹介:しかし、この設定はゲームにほとんど関係ない。
・デップ君
一人遊びが大好きな男の子。好きな音楽はパンクロック。
・キャサリン
自称デップ君の親友?の女の子。趣味はお料理。
・ニセデップ
デップ君のライバル。
・レッドデップ
時にはデップ君の手助けをする。
(『ザ・デップショー2〜デプリンピック〜』ゲーム説明から引用)
ゲームは、ミニゲームが12個。
まず「5m走」からはじまる。
次に9つのゲームがランダムに続く。
走る・・・「ハードル」「障害走」「リレー」
飛ぶ・・・「走り高跳び」「走り幅跳び」「三段跳び」「棒高跳び」
投げる・・・「砲丸投げ」「ハンマー投げ」
そして「ボーナスゲーム」「ゴール」と終わる。
実はこの「ゲーム説明」には、操作説明がない。
ミスをしないことが高得点につながる、というしくみだけ紹介されている。
「デプリンピック」と名づけられた個々の競技で高得点をあげるより、ボーナスゲームで獲得できる得点のほうが高いのだ(多分)。
はじめはゲーム製作者の意図がつかめなかった。
しかし、ゲームを繰り返すうちにきづいた。
操作方法の説明の欠如
次々とランダムに、はじまる競技
異常な得点バランス
この3つの整合性の欠けたゲーム設計から、ユーザーは絶対に操作を失敗する。
おそらく優秀なゲーマーほど。
そして、真のデップショーである、主人公のデップ君が失敗する姿を見ることになる。
例えば、落とした砲丸に血反吐を吐く姿。強烈すぎる。
だが、シンプルに描画したキャラクターなので、悲惨さがない。
ゲーム性を犠牲にして、デップショーは「シュールさ」の表現に成功した。
世界観★★★★★★6つ(規格外である)
戦略性☆なし
・グリゲー『激!マッチョ塾』
正直、デプリンピックに対抗できるインパクトを求めるのは酷だろうと予想した。
だが、唯一の奇作が『激!マッチョ塾』だ。
どう見ても、少年ジャンプで連載していた『魁!男塾』のパロディ。
ひ弱な少年がマッチョ塾で徹底的に鍛えられるという設定。
「腹筋」「ベンチプレス」「スクワット」の3つのトレーニングで、
それぞれ「胸」「腕」「足」が力強くなるかどうか。
このあたり、デプリンピックと似た雰囲気を感じる。
しかし、ゲームはタイミング優先。
コーチらしき人物の掛け声がランダムで発生し、その内容によってプラスやマイナスの効果がある。
パロディながら世界観を匂わせるものがある。
それとも、汗臭いだけか。
世界観★★★★4つ
戦略性★1つ
・総評
デップショーが表現するシュールさは、ずば抜けている。
何人も近寄れない孤高の世界にいるといっていい。
このゲームをリリースするモバゲーのふところの広さに感心する。
一方、グリゲーはこの作品以降くせがなくなってしまった。
グラフィックの水準とゲーム性は上昇している。
だが、“はまる”ゲームの条件である世界観が薄れてしまった。
それもまた戦略のひとつではあるのだが。
・両社サイト
モバゲータウン:http://www.mbga.jp/
グリゲー:http://gree.jp/